受賞

2024年 SCAT会長賞 (一般財団法人テレコム先端技術研究支援センター)
「量子計算機アルゴリズムの先駆的研究を通じた耐量子計算機暗号技術の安全性評価への貢献」(受賞者:谷誠一郎)

業績内容

近年、量子計算機及びそのアルゴリズムの研究開発による情報通信分野の更なる発展が期待されている。受賞者は、この分野の研究が現在ほどには盛んでなかった2000年代半ばより研究を開始し、先駆的かつ重要な貢献を果たしてきた。例えば、暗号分野では関数の値の衝突を発見することで暗号を解読できる場合があることが知られているが、受賞者は関数の値の衝突を高速に探索する理論的に最適な量子計算機アルゴリズムを考案し、その衝突を利用した暗号への攻撃を量子計算機により高速化する手法と理論限界を示した。このアルゴリズムは米国NISTにおける耐量子計算機暗号の標準化で注目され、標準化に提案された主要な公開鍵暗号の評価基準の一つとなった。この他、量子計算機による計算の基礎となり暗号解読に重要な役割を果たす加算等の算術演算を高速に行うアルゴリズムや、量子通信路を用いた複数の量子計算機の量子状態共有による優位性に着目した分散型の量子計算機アルゴリズムを考案するなど、量子計算機の研究開発に大きな役割を果たした。このような成果を生み出した受賞者の広い視野と深い知識は、文部科学省「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」などにおける領域アドバイザーとしても発揮されている。このように、受賞者は量子計算機アルゴリズムの先駆的研究による耐量子計算機暗号技術の安全性評価に多大な貢献を行い、国民の安全・安心に大きく寄与した。 [関係サイト]


2023年 前島密賞 (公益財団法人通信文化協会)
「量子計算アルゴリズムの先駆的研究と耐量子計算機暗号の安全性評価への貢献」
(受賞者谷誠一郎,高橋康博)

業績内容

量子計算機を活用するために不可欠なソフトウエアの基盤技術として、量子アルゴリズムの考案を黎明期から取り組み世界をリードしてきた。ネットワーク接続された多数の量子計算機及び量子計算機単体におけるアルゴリズムの基礎技術において先駆的な研究成果を上げるとともに、耐量子計算機暗号技術の安全性評価においても多大な貢献をした。[関係サイト]


2019年 電子情報通信学会 第56回(平成30年度) 業績賞
量子アルゴリズムに関する先駆的研究」(受賞者谷誠一郎,高橋康博)

業績内容

電子情報通信学会 会誌記事 参照 (vol. 102, No.7, 2019, p.615 [リンク]).


2001年 電子情報通信学会 平成12年度 情報システムソサイエティ論文賞(先見論文)
“The Complexity of the Optimal Variable Ordering Problems of a Shared Binary Decision Diagram,” IEICE Transactions on Information and Systems 79 (4), 271-281, 1996. (受賞者:谷誠一郎,濱口清治,矢島脩三)